電気二重層キャパシタエネルギーと効率の両立

産業界、特に倉庫物流においては、ハンドスキャナといったモバイル用途におけるその重要性という観点からも安定した電力供給が不可欠であることは、言うまでもありません。電気二重層キャパシタ(スーパーキャパシタ)は、従来の二次電池コンセプトをインテリジェントに補完するエネルギー貯蔵ソリューションを提供するものです。Leuzeは、その革新的なセンサー・ソリューションにおいて、この技術を的確に活用しています。

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すべては用途次第:個別スキャンまたは連続運転

 

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電気二重層キャパシタは、Leuze社製多目的ハンドスキャナ「IT 1960」シリーズといったモバイル機器に使用されています。

ハンドスキャナはさまざまな場面で使用されていますが、電力供給に対する要求はデバイスごとに異なります。保管場所や棚卸し時に使用されることの多い個別スキャンでは、ハンドスキャナは通常短時間の高いピーク性能しか必要としません。つまり、デバイスは充電器にセットされており、数秒以内に完全な作動状態に復帰する必要があるということです。ここで特に重要となるのは、蓄電システムが必要なときにすぐに利用できるよう、素早く充電することです。長時間の操作に用いられるハンドスキャナの要件はこの限りではありません。 

倉庫や生産環境でのシフト作業においては、装置を数時間連続的に使用するため、長時間の作業性が決定的な要因となります。この場合、ハンドスキャナには定期的な充電を必要とせず、1回の充電で1日中使用可能であることが求められます。このような用途においては、長時間にわたって一定の電力供給が求められるため、蓄電システムのエネルギー密度がより大きな役割を果たします。

いずれの場合も、エネルギー貯蔵技術が鍵となります。なぜなら、デバイスの性能に加えて動作時間やエネルギー効率にも影響するからです。用途によっては、電気二重層キャパシタや充電可能なバッテリーである二次電池が最適な解決策となるでしょう。

電気二重層キャパシタと二次電池の比較 - メリットとデメリット

 

電気二重層キャパシタ(電気二重層コンデンサ)はスーパーキャパシタ、またはウルトラキャパシタとも呼ばれ、特に急速充放電が可能な電気エネルギー貯蔵デバイスのことをいいます。これは主に、静電的、つまり電極と電解液の界面で電荷を分離することでエネルギーを貯蔵するものです。対照的に、二次電池は電気化学的、つまり電池セル内部の化学反応によってエネルギーを貯蔵します。電気二重層キャパシタの主な利点は、数秒で満充電が可能であり、かつ短時間で非常に高い電力を供給できることです。このため、この技術は短時間のエネルギーを必要とする用途や停電時のバックアップ電源用途に最適です。電気二重層キャパシタのエネルギー密度は二次電池より低いものの、100万回以上の充電が可能です。従来の二次電池の充電回数は2,000回程度に過ぎません。加えて、製品寿命はリチウムイオンバッテリーの数倍(最長15年)に匹敵します。このように、電気二重層キャパシタは特にスピードと可用性が要求される幅広い産業要件に対して、優れた信頼性だけでなく保守が簡単で、環境にも優しいソリューションとなっています。

電気二重層キャパシタリチウムイオンバッテリー
充電時間分~時間
サイクル数約1,000,000サイクル約500~2,000サイクル
出力密度非常に高い中程度
エネルギー密度高い
充電温度約-55℃~+90℃約0℃~45℃
寿命最長15年3~7年
維持費中~高

電気二重層キャパシタのタイプ

電気二重層キャパシタは、蓄電方法、素材、技術的特性の観点からさまざまなタイプに分類できます。産業用途、特にハンドスキャナといったモバイルデバイスでは、いわゆる「EDLCタイプ」(電気化学二重層キャパシタ)が主流です。特にサイクル安定性に優れており、充電タイムが短く、堅牢な設計を兼ね備えています。擬似コンデンサはあまり一般的ではありません。

EDLC(電気化学二重層キャパシタ)

  • 化学反応を伴わず、純粋に静電気的に蓄電します
  • 活性炭電極を使用
  • 非常に優れたサイクル安定性(100万サイクル超)
  • 充電時間が短く、頑丈かつ耐久性に優れています
  • 産業用およびモバイルデバイスとして標準のタイプ

擬似キャパシタ

  • 二重層に加えて、電極での酸化還元反応
  • エネルギー密度は高いが、サイクル安定性は低い
  • 金属酸化物や導電性ポリマーでできた電極(例:
  • より高価で、取り扱いにかなり注意が必要
  • 主に特殊用途や研究用途で使用)

瞬時充電可能な軽量ソリューション

 

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バーコード検出に使用される多目的ハンドスキャナは、短時間だが高い性能が要求される用途に最適です。電気二重層キャパシタ技術は、スキャナに数秒から数分の間十分なエネルギーを供給します。つまり、機器を非常に短時間で充電できるということです。そのため、電気二重層キャパシタ技術を用いたハンドスキャナは、定期的な個別スキャンを必要とする用途に特に適しています。Leuzeは、「IT 1960」シリーズの無線電気二重層キャパシタデバイスにおいて、この技術を最大限に活用しています。デバイスに二次電池を使用していないため、大幅な軽量化に成功しました。例えば、「IT1960」シリーズの電気二重層キャパシタハンドヘルドスキャナはわずか220gです。このことは人間工学的に大きな利点となり、日常使用での取り扱いが容易になります。一方、短時間に多くのスキャンが必要な場合は、二次電池を使用した、または有線機器が推奨されます。Leuzeは「IT 1960」シリーズにおいて、このような用途に適したモデルをご用意しています。

二次電池よりはるかに頑丈

電気二重層キャパシタの優れた点は、急速充電だけではありません。環境への影響低減にも優れた強みを発揮します。一般的な電気二重層キャパシタは、氷点下2桁の低温環境においても性能をそれほど落とすことなく確実に動作します。一方、リチウムイオンバッテリーは低温に対して非常に脆弱です。さらに、電気二重層キャパシタは電気コンデンサであるため、新たなEU電池指令(2023/1542)の対象となっていません。この指令は、EUにおける二次電池の販売、使用、リサイクルに関する明確な規定を定めたものです。多くの場合、二次電池には保守点検や交換が欠かせず、廃棄も適切に行う必要がありますが、電気二重層キャパシタは通常、永久に機器内に残すことが可能です。これは、使用期間が15年に及ぶ場合でも同様です。持続可能性を重視した調達戦略をとる企業にとって、電気二重層キャパシタが魅力的な理由はもう一つあります。それは、リチウムやコバルトといった重要な原材料を含んでいないことです。

概要

一般的に、電気二重層キャパシタ技術はバッテリーを代替するものではありません。しかし、用途によってはより効率的な選択肢となり得ます。そのためLeuzeは、多目的ハンドスキャナなどのソリューションにこの技術を活用してきました。わずか数秒での超高速充電、充電サイクル数の大幅な増加、軽量化により取り扱いが容易になりました。最後に忘れてはならないことは、システム運用者にはバッテリー駆動の機器に比べてコスト削減の恩恵があるという点です。

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Dieter Eßlinger
コンテンツ管理者
Dieter.Esslinger@leuze.com